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土壌を育てる

リズ・カーライル
Amy Kumler
足元の地中に潜む数十億もの微生物が、気候変動の逆転に役立つかもしれません̶ー私たちがそれらを適切に扱うことができれば。

政治家の議論が気候危機におよぶと、小麦生産者のボブ・クインは首を横に振り、「農家には気候変動について議論する余裕などない」と話します。「我々は気候危機に対応しなければならないのだ」と。私は、モンタナ州北中部にあるクインの4,000エーカーのオーガニック農場を訪れています。果てしなく広がる空の下、ゆるやかに起伏する広大な草原に、黄金色の穀物畑と、スイートクローバーやアルファルファの被覆作物畑があります。クインは、作物を枯らす長い夏の干ばつや、1日で穀物をダメにしてしまう真冬の寒暖差に対処しなければなりません。言葉通り、彼はこのような新たな課題に対して諦めることはありません。代わりに、化学物質を使用せずに土壌を豊かにすることのできるリジェネラティブ・オーガニック農法を採用することで、隣人たちの多くが災害手当以外に何も収穫できない状況に陥った天候さえも乗り越えてきました。

クインは手を土に入れて「ここには多くの微生物がいる」と、一握りのモンタナの土を見せ「地球全体の人口よりも多い数だ」と話しました。その僅かな土だけでも数十億にもなる微小な生物こそが、彼の作物を支え、過激な天候から農場を守っているのです。そしてクインは、これらの生物こそが気候変動の攻撃をかわす、人類にとって最善の希望になり得ると考えているのです。

土壌を築く者

微生物が非常に重要なのは、土壌有機物(soil organic matter , SOM)と呼ばれるものを作り出す役割を果たしているからです。SOMは、豊かな黒い土のように見え、例えば堆肥の山を作ったときや植物の根が土中で分解される際など、微生物が植物や動物の残渣物を分解するときに形成されるものです。

農家は、この炭素に富む有機物が健康な植物を育てることを昔から理解していました。だからこそ、有機物マルチングや堆肥、被覆作物が何千年ものあいだ採用されてきたのです。そのような再生型農法によって増加した土壌有機物が無数の微生物を育み、それらの微生物が農家の作物へと養分を供給します(14ページの図解を参照)。ある微生物が死ぬと、その体はほかの微生物をさらに豊かにします。土壌有機物に富む土壌は、水分を多く保持し、土壌に吸収されずに流れ去る雨水(表面流去水)を減らす優れた機能を発揮しつつ、病気や害虫を抑制します。つまり、健康な土壌の鍵は土壌有機物であり、ボブ・クインの手の中にいる数十億の微生物によって実現可能になるのです。

しかし、それだけではありません。気候変動が悪化するにつれ、農家や科学者は土壌有機物が持つ別の力にさらなる関心を寄せています。それは、二酸化炭素を地中に貯め込む能力です。土壌の「炭素貯蔵」への期待はとても魅力的です。地球全体では、土壌は大気の約3倍の炭素を貯留しており、そのほとんどは土壌の表層1メートル内にあるため、土地管理の影響を直接受けます。2015年に20か国の科学者たちがはじめた「4per Mille(フォー・パー・ミル)」イニシアチブは、世界的な取り組みによって土壌有機物をたった0.4%増加させることができれば、人間活動由来の温室効果ガス排出量の20~35%を相殺するのに十分な炭素を隔離できる可能性が高いと推定しているのです。

健全な土壌、健全なビジネス

クインは、土壌(もちろんその中にいる微生物も)を育てるために、小麦のような換金作物と、窒素固定を行う、アルファルファのようなマメ科植物とを交互に作付けします。彼の説明によれば、マメ科植物は根に共生する根粒菌と呼ばれる細菌と共に働きます。この細菌は大気から窒素ガスを吸収し、それを植物が利用可能な栄養形態に変換します。そのため、マメ科植物は化石燃料を大量消費している化学肥料に代わる、気候に優しい代替策です。つまり、クインの土壌微生物が、分解されている植物から窒素と炭素を摂取すると同時に、彼の作物は豊かに実るのです。まさにウィンウィンです。

クインにとって、健全な土壌は健康な植物にとってだけではなく、健全なビジネスにとっても重要でした。マメ科植物を利用することによって土を肥沃にすれば、肥料を購入する必要がなくなります。また、土壌有機物を増やし、作物の多様性を維持することで、乾燥地域のモンタナ州北中部でますます頻発している干ばつや気候異常による莫大な損失を抑えています。「リジェネラティブ・オーガニック農業では、州内での最高収量は得られない」とクインは話します。「しかし、天候のいい年には州の平均程度になるし、天候の悪い年には平均を上回る。全体として、我々の収穫量はより安定している」。工業型農業がまだ完全に定着していない世界の一部地域、アジアやアフリカの広大な地帯で、クインはこの農業のあり方に可能性を見出しています。なぜなら、工業型農業向けの資本投資が不要だからです。「彼らはすでに土壌を育む方法を知っているが、輸出市場向けに単一作物を増やすことは、伝統的な知識の一部を失うことを意味してきた。もし彼らの祖先が実践していたようなリジェネラティブ・オーガニック農法に戻ることができれば、長期的な平均収穫量を2~3倍にできると調査が示している」とクインは話します。

自然を模範に

一方、カンザス州サライナでは、アグロエコロジストのティム・クルーズが、微生物の繁殖を助ける別の方法を試みています。多年生作物です。デモンストレーションとして彼は、リサーチ・ディレクターを務める〈ランド・インスティテュート〉を訪れた人たちを、ワウホブ・プレーリーと呼ばれる小さな区画に連れて行きます。そこは、原生プレーリーが手つかずのまま残されている数少ない場所のひとつです。多年生の草や鮮やかな黄色のヒマワリ、紫色のエキナセア、マメ科植物、その他数十もの種が太ももの高さにまで密集して生え、土地を完全に覆っています。「これらの植物たちが、農業の頼りとなる土壌を作り上げてきたのです。これこそが、私たちが努力して達成しようとしている生態系なのです」とクルーズは話します。

研究所でクルーズは、小麦のように毎年植え替える必要のあるほとんどすべての栽培穀物ではなく、根付いたままでいる穀物、つまり多年生の穀物の栽培に野心的にチャレンジしています。一年生作物の単一栽培は、時間の経過と共に多くの農地の土壌有機物を劇的に減少させているとクルーズは話します。雑草防除のために一年生作物は毎年の耕起を必要とし、それが土壌有機物量のレベルを大幅に減少させる可能性があるのです。また、一年生作物の浅い根や比較的少ない微生物群では、多年生作物ほどの土壌有機物を土壌に加えることができません。「多年生作物から一年生作物への切り替えや耕すことを行ってきたことで、私たちは土壌有機物の25~70%を失ってきました。そして、化学肥料は、真の土壌健全性のためには不十分な代用品です」

クルーズは、複数の多年生植物を組み合わせて栽培する取り組みも行っています。このような多年生植物の混作により、年間を通じて根の多様性を土壌中に保てる、と彼は説明します。次に、その豊かな根のネットワークが、同様に多様な微生物群を引きつけ、その微生物群も年間を通じて有機物を作り上げていきます。根が継続的に土壌中に存在することで、土壌微生物群はより成長でき、炭素の安定化や土壌中での長期間の炭素隔離といった働きをより効果的に行えるようになります。

クルーズにとって、再生型農業の真の実現に向けた展望とは、農地土壌を私たちが最初に耕しはじめる前の状態、つまり植物の90%以上が多年生であった状態への復元を意味します。「課題は、穀物にプレーリーのような草原の役割を担わせ、それでもなお食料の収穫ができるかどうか」だと、彼は話します。

Amy Kumler

クルーズが師と仰ぐ、〈ランド・インスティテュート〉の創設者であるウェス・ジャクソンは40年以上も前にこの問題に取り組みはじめ、研究チームはごく最近、初めての商用作物を発表しました。金色で細く、ナッツのような味わいのカーンザと呼ばれる多年生穀物です。カーンザは、ポートランドにある〈ホップワークス・アーバン・ブルワリー〉とパタゴニア プロビジョンズが共同で開発した「ロング・ルート・ペールエール」という名のビールに醸造され、2016年(日本では2017年)に初めて世に出ました(20ページを参照)。この深く根を張る食用の穀物に喜びつつも、カーンザのみの畑が目標ではないとクルーズは強調します。微生物の多様性を促すことのできる混作は、穀物の多年草化と同じくらい重要なのです。

最初の実験として、クルーズは2種の作物の混作を研究しています。カーンザの列に、ボブ・クインが大気から窒素ガスを「固定」させるために使用したマメ科の多年生植物、アルファルファの列を混ぜ合わせたのです。次に、これらの畑の周囲に花を付ける作物を植えることにより、花粉媒介者と有益な昆虫を引きつけることができると彼は話します。〈ランド・インスティテュート〉の植物育種家たちが取り組んでいるヒマワリと同じ系統の多年生植物、シルフィウムが適任かもしれません。

しかし、カーンザとアルファルファの2種混作だけでも、毎年行われる単年栽培の農法と比べれば、いくつかの優れた利点が見込めます。クルーズは、コロラド州立大学の土壌生態学者フランチェスカ・コトルフォや、その教え子で博士課程の学生ローラ・ファン・デル・ポールと共同研究を行っています。彼らは、窒素を高めるアルファルファとカーンザの組み合わせが、土壌中で形成される、より安定した炭素の量を増加させるかどうかを調べています。窒素と炭素を混ぜるとより多くの微生物量を維持できるからです。

その他に、博士号を取得したリズ・コジエルとトム・マッケナが率いるカンザス大学の共同研究グループは、間作農法における微生物のバランスが病原菌の増殖を有意に減少させるかどうかを調査しています。

しかし、カーンザとアルファルファの混作に関してクルーズが見出した最大の発見は、農業に関連する別の強力な温室効果ガスである亜酸化窒素(N2O)に関するものでしょう。1分子あたりで比較すると、亜酸化窒素は二酸化炭素の300倍もの熱を吸収します。「毎年、作付けを行う農法では、多くの窒素を失う可能性がある」とクルーズは説明します。「もし、1年のうちに地中に根が存在せず、吸収されない期間があると、窒素は土壌中に蓄積されて、下方の地下水に移動するか、上に向かって大気中に放出される傾向がある。一方で、もし微生物によってミネラルとして土壌中に放出される窒素を吸い上げる植物の根があれば、過剰な硝酸が蓄積されることはない」

この自然な同調性こそが、〈ランド・インスティテュート〉がパタゴニアのために栽培しているカーンザとアルファルファの2種混作のもとで起きていることだとクルーズは理解しています。カーンザの根はアルファルファが放出する窒素を吸収するため、窒素は温室効果ガスの問題物質に変換されずに、資源として利用されています。ミネソタ大学やウィスコンシン大学の同僚と共にクルーズは現在、カンザス州、ウィスコンシン州、ミネソタ州の9人の農家と協力して、カーンザとマメ科植物の2種混作で栽培し、より多くのデータ収集を行っています。

土壌への投資、未来への投資

ボブ・クインも、自身の農場の小さな研究区画でカーンザを栽培し、この多年生植物が北部のグレートプレーンズでも同様に成長するかを確かめています。まだ大量の穀粒を収穫するには至っていませんが、クインは実のなる穂よりも、根の構造により関心を寄せています。

「畑に対する考え方は2通りある」クインは、苦労していた地元のコミュニティを活性化させるために、彼自身が立ち上げ、成功させた5つの企業すべての基盤となったシンプルなビジネス哲学をかみ砕いて話してくれました。「ひとつは、自分はこの土地から何を得ることができるのかという考え方。もうひとつは、自分はこの土地に何を還元できるのかという考え方だ」

クルーズとクインの両者にとって、エネルギーとお金を消費しながら他の場所から有機物を運び込むやり方ではなく、彼らの農法を通じて土壌を育むということが、大きな違いを生むのです。

「オーガニック農業をやりはじめて気付いたことは、いくらお金をかけても、土壌が自然に行っているほどに効果的には作物を育てることはできない、ということだ」とクインは話します。「もし私が肥料と除草剤を使って作物を育てようとしたら、それは延々とつらい単調な作業をつづけ、次から次へと負け戦に資金を投じていくようなものだ。けれども、土の中の生命を育てることを軸に農法をデザインすれば、その生きている土壌が、健康で耐久力と回復力のある作物を育ててくれる」

「投資を行うのと同じことだ」と続け、土壌を育むオーガニックな管理農法を行って30年近くになる畑に目を向けます。その土壌は柔らかく、弾力性があり、足を踏み出すたびに跳ね返す力を感じます。「時間はかかる。被覆作物を最初に栽培した直後や、輪作をより多様にした最初の年は劇的な改善は見られない。けれども5年~10年経てば、土壌の有機物の割合が1%や2%から3%や4%に増加し、この驚くべき生体系がその先を引き継ぎ、自然界でつねに行われていることを実行しはじめる。それは、自力での持続、自立だ。自然を模倣すればするほど、農家としてより成功するようになる。私が気候カオスと呼ぶ気候変動の問題に対して、これが唯一の実行可能な真の選択肢だと思う」

リズ・カーライルは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校 環境学プログラムの助教授。彼女は、フードシステムにおける持続可能性への移行に関する研究を行い、農家と協力して、農地のアグロエコロジーな管理を拡大するための障壁と可能性の理解を深めています。著書に『Lentil Underground(豆農家の大革命:アメリカ有機農業の奇跡)』、ボブ・クインと共著で『Grain by Grain』がある。

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