エネルギーを大量投入して生物多様性を喪失してしまう近代農業。その解決策として注目される多年生穀物は、毎年耕す必要が無く、環境を再生する食料生産の鍵を握っている。
もしもこのマンゴーが話せたら
コミュニティと土壌、健康、そして希望についてのストーリー
〈ソル・シンプレ〉の創業者ウィル・バークが初めてニカラグアを訪れたとき、彼は70年代の革命の傷がいまだに癒えないでいる国を目の当たりにしました。企業化された従来の慣行農業が主流のなか、土地もまた癒しを必要としていました。教育者としての経歴をもつウィルは、農業が貧困を緩和できると考え、2007年にソル・シンプレを立ち上げました。目的は、地元の生産者と加工業者たちの民主的な農業協同組合の組織化を支援し、彼ら自身とその土地を持続可能にすることでした。
ソル・シンプレは同社のオーガニックプログラムに参加する生産者を見つけ、協同組合への加入を援助し、オーガニック農法の技術的側面についてのワークショップを主催しています。こうして生産者がオーガニック認定を受けると、ソル・シンプレは農場で収穫されたマンゴーを引き取り、再生可能な太陽エネルギーを利用して加工し(彼らはこの地域で最大級のハイブリッド太陽光式乾燥機を所有)、製品を市場へ出荷します。
持続可能な農業とはどういうものなのでしょうか。それは、未来の世代の農家のためのモデルを作り出すことです。男女平等を推進し、コミュニティを支援し、土壌を再生することを意味します。ニカラグアはラテンアメリカで最も貧困に苦しむ国のひとつで、ソル・シンプレは限界集落で操業し、シングルマザーを雇用し、女性の農家(同社のネットワークの農家のほぼ3分の1が女性)との協働関係を築きます。さらに社員やパートナーが新たな技術を身につけ、貧困から脱け出すための最善の道のひとつである教育を子どもたちが受けられるように地元の政府や学校とも協力しています。
ソル・シンプレの生産者向けワークショップでは、有機物の再構築、生物多様性の修復、炭素の吸収、水のろ過サイクルの改善、収穫量の増加など、主に土壌に焦点が当てられています。わずか12年でこの協同組合はリジェネラティブ・オーガニック(RO)農法の実践における先導者となり、現在ではRO認証の取得に取り組んでいます。これは責任あるビジネスのモデルであり、私たちは他の企業に刺激を与え、鼓舞することを願っています。