自然派ワイン、自然酒の調達パートナー
ワインの専門家であるブライアン・マクリンティックとヴァニヤ・フィリポヴィックの協力のもとに厳選されたパタゴニアの自然派ワインと自然酒のコレクションは、卓越した飲み口以上のものを提供します。パタゴニアのパートナーは伝統的な発酵技術と環境修復型の農法を組み合わせることにより、傷ついた土壌を修復し、在来種の生物多様性を回復させ、炭素を土に隔離しながら、インスピレーションを与えてくれる風景と同じように生命力に満ちた製品を提供しています。
マインクラング
オーストリアとハンガリーの肥沃な低地をまたぐマインクラング社は世界最大規模のバイオダイナミック農場のひとつです。
デメター認証済みのバイオダイナミックブドウ園を持つマインクラング社には、300種以上の植物が生息しており、その広さは約7,400エーカーにおよびます。そのうち、死火山が残したわずか200エーカーの豊かな土壌でワイン用ブドウを育てています。野生の植物、とくにクローバー、ベッチ(カラスノエンドウ)、自生の草とイラクサなどが畝の間に生い茂り、土壌をほぐし、ブドウの木が健全に競争して成長するように促します。これらの作物は、絶滅の危機に瀕している花粉媒介者の生息地となるだけでなく、炭素隔離にも貢献しています。家畜の糞、果実の絞りかす、生ゴミと岩石の粉末を混ぜた自家製の堆肥を与えられたブドウの木は剪定をあまり必要とせずに自然に育ち、果皮と果肉の比率が高く、複雑な風味を持つ芳醇なブドウを生み出します。
マインクラング社の創業者であるアナリーサとワーナー・ミヒリッツは3人の息子とともにこの地方の生物多様性の回復に取り組んでいます。19世紀から20世紀にかけて、これらの土壌を肥沃にしていた浅い湖や沼地は、工業化のために排水されてしまいましたが、ミヒリッツ家の水に優しい再生型農法のおかげで、この地域はやっと生産性を取り戻しつつあります。ミヒリッツ家は、無濾過のワインを瓶詰めすることを約束しており、私たちはこの低地の景観の豊かさを一杯ずつ味わうことができます。
フランク・コーネリッセン
フランク・コーネリッセンは活火山の斜面で、シチリアでかつて行われていた環境再生型のブドウ栽培を復活させています。
2010年にオーガニック認証を取得したフランク・コーネリッセンの農園は、岩がごろごろしたエトナ山の険しい北斜面にあり、広さは24ヘクタールにおよびます。火山岩の一種である玄武岩が健康なブドウ畑の維持に役立っています。敷地の大部分で、より芳醇なブドウを生み出すアルベレッロと呼ばれる伝統的な仕立て方法で育つ土着品種のブドウ、ネレッロ・マスカレーゼが栽培されています。熟す間にも房の1つ1つに細かな注意が向けられ、損傷した果実を取り除きます。この細部へのこだわりは収穫まで続きます。ブドウの房はそれぞれ、フェノールの含有量が最高に達した時に収穫され、ワインが持つ印象的な風味を引き出します。
フランク・コーネリッセンのワイン作りへのアプローチは、地中海地域で何千年にもわたって実践されてきた、持続可能で自給自足体制にあった伝統的なブドウ栽培に立ち返ることから始まりました。オリーブの木が水分を保持し、有益な昆虫を引き寄せることでブドウを助け、ソバなどの穀物は雑草を抑制し、浸食を防いでいます。このワインを口に含めば、少なくとも2,500年にわたってワインを生み出してきたこの地域特有の、活力溢れる生き生きとした風味に驚かされるでしょう。
フルクステレオ
スウェーデン南部の海岸に拠点を置くフルクステレオ社は、オーガニックハードサイダーと自然派ワインの境界を曖昧にしています。
スウェーデンの冷涼な気候は、昔から木の実の発酵に理想的な酸味を与えてきました。近年、スウェーデン南部の果樹園では、地元の人たちが食べきれないほどの果物が収穫されるようになりました。そこで、フルクステレオの創業者たちは、果樹園から余ったリンゴやプラム、チェリーなどを集め、添加物を使用せず、ロンド種のブドウと一緒に自然発酵させました。その結果、地元の農家を助けながら、優れたフルーツワインを生み出しました。極寒の北の大地でも、まばゆいばかりの醸造酒ができることを証明したのです。
元ソムリエのミカエル・ニペリウスとカール・ショストロムは、最高のワインやフルーツ・ペットナットは「果実の声に耳を傾ける人たち」によってつくられることを知っています。そこで彼らは、マグナス・ニルソン(有名シェフから農家に転身)のような、乾地農法や不耕起栽培の技術を持つブドウ栽培家や果樹園の経営者とパートナーシップを組んでいます。収穫したブドウを野生酵母で発酵させ、場合によっては地元のハチミツを使うことで、フルクステレオは北欧ならではの自然発酵のスパークリング・フルーツワインをつくり出しているのです。
寺田本家
1673年より続く日本の寺田本家は、地元の米と神聖な湧き水を使って銘酒を醸造しています。
20世紀半ばから日本酒業界を席巻した近代的な工業型発酵技術を採用したのち、寺田本家は30年以上前に伝統的な醸造方法に立ち返りました。その結果、同社のお酒はかつてないほど美味しくなりました。農薬や化学肥料を使用せずに育てられた地元の「美山錦」を原料とし、千葉県の神崎神社の近くで湧き出る「母なる水」だけを使って米を洗い、浸水させます。江戸時代から続く発酵工程を採用し、炭で発酵の場を整えた蔵内にすむ蔵付き麹菌を採取し、自家培養した麹菌を使用しています。美山錦に加えて、兵庫県豊岡市で「コウノトリ育む農法」に取り組む〈坪口農事未来研究所〉が農薬を使わずに育てたコシヒカリを使用しています。
24代目の蔵元である寺田優氏は、土壌を修復する農法により水田で繁栄する微生物から発酵を促す麹や酵母、何百年も前から歌われてきた「もと摺り唄」を歌いながら酒母を攪拌する蔵人まで酒造りを支えるすべての生き物の健康を守ることが彼の役割だと考えています。同氏は昔ながらの唄により麹菌が蔵人の繊細なリズムに呼応すると信じています。このため、前任者と同じく酒造りの現場ではできる限り機械を使用していません。この非凡なお酒の栓を抜くとき、人と自然の調和を大切にする寺田本家の思いを感じることができるでしょう。
仁井田本家
1711年創業の仁井田本家は、自然栽培米と天然水のみを使って自然酒を醸造しています。
阿武隈川水系や溜池の恩恵に預かり、水が豊富な土地である福島県郡山市田村町で、仁井田本家は、広大な山林と田畑を管理しながら、この土地で300年間、天然の水だけで酒づくりをしてきました。「山に手をつけるな」という家訓の元、開発とは縁のない里山を維持してきた当主の18代目、仁井田穏彦氏は、次世代にその豊かさを託すため、自社での米づくりを2003年から始め、現在はより豊かな環境づくりを視野に入れた経営を目指しています。
「仁井田本家が日本酒をつくり続けるからこの土地が豊かでいられる、と地域から思われる相思相愛の関係になることが夢です」と穏彦氏は語ります。環境を整えることが目に見える生態系だけでなく、蔵に棲みつく微生物にも大きな影響を与えています。工業的に培養した株ではなく、自社の蔵や田んぼにいる微生物を育てて全量を仕込む、仁井田本家の自然酒の味わいは、土地の環境の健やかさというテロワールを表しています。
ワイン+日本酒
パタゴニア プロビジョンズでは自然派ワインと自然酒をご用意しています。これらの製品すべてが、環境を修復する農法で生産され、人的介入を最小限に抑えて醸造、瓶詰めされています。